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睡眠覚醒における脳細胞に関する新知見 アストロサイトの活動が睡眠覚醒で変化することを発見

睡眠覚醒における脳細胞に関する新知見 アストロサイトの活動が睡眠覚醒で変化することを発見

2021.05.19 09:00

発表のポイント

  • 脳を構成しているグリア細胞の一種であるアストロサイトが、睡眠覚醒ステージ*1に応じてその活動を変化させていることを、マウスを用いた研究より見出した。
  • アストロサイトの活動は覚醒時に高く、レム睡眠時に最も低くなっていた。この活動パターンは、今回検討した複数の脳領域で一貫していた。
  • 今回新しく見出されたアストロサイトの活動パターンは、これまで報告されている神経活動パターンとは全く異なっていた。
     

概要

 脳は、神経細胞、グリア細胞で構成されています。これまで、脳の機能を担っている細胞は神経細胞がメインだと考えられてきましたが、近年、グリア細胞も様々な役割を担っていることが分かってきており、睡眠における役割が注目されてきています。
 東北大学大学院生命科学研究科の常松友美助教らの研究グループは、マウスにおいてグリア細胞の一種であるアストロサイトの活動が覚醒時に高まり、睡眠時、特に夢を見ているレム睡眠時に低くなることを見出しました。本成果により、アストロサイトを含めた脳全体での睡眠覚醒における生理的役割や意義の全貌解明に繋がることが期待されます。
 本研究結果は、5月18日付(アメリカ東部時間)のJournal of Neuroscience誌(電子版)に掲載されます。
 本研究は、科学技術振興機構さきがけ、日本学術振興会科研費、および東レ科学振興会の支援を受けて行われました。
 
 
 
 
図 睡眠覚醒ステージに伴うアストロサイト細胞内Ca2+濃度変化
上から、マウスから記録した脳波、脳波スペクトログラム(脳波の周波数成分の分布図)、筋電位、アストロサイトCa2+濃度、アストロサイト活動、睡眠覚醒ステージを表している。アストロサイトCa2+濃度がレム睡眠中に徐々に減少し、覚醒と同時に一気に増加した。

 
 
【用語説明】
*1睡眠覚醒ステージ:睡眠覚醒ステージは覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠の3つに分けられる。ノンレム睡眠は脳の休息に重要であると考えられている。一方、レム睡眠では、脳は活発に活動しており、夢を見ていると考えられている。

【論文情報】
題目:Region-specific and state-dependent astrocyte Ca2+ dynamics during the sleep-wake cycle in mice

著者:Tomomi Tsunematsu*, Shuzo Sakata, Tomomi Sanagi, Kenji F. Tanaka, Ko Matsui
筆頭著者情報:(氏名、所属):常松友美、東北大学大学院生命科学研究科助教、東北大学学際科学フロンティア研究所助教兼務、JSTさきがけ研究員兼任

雑誌:Journal of Neuroscience

DOI:10.1523/JNEUROSCI.2912-20.2021
 

 
 
【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科 
担当 常松 友美(つねまつ ともみ)
TEL: 022-795-4751
E-mail: tsune(at)tohoku.ac.jp
 
【報道に関すること】
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
Tel: 022-217-6193
E-mail: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp