発表のポイント
- 実験室での小鳥の自然な動きと視線を解析するモーションキャプチャー行動解析システムを開発しました。
- 開発したシステムを用い、小鳥が他個体との相互作用中にとる行動や、液晶モニタ内に提示された個体に対して取る行動の詳細を観察しました。
- 小鳥は対象に応じて行動を変化させたり、左右の視野を使い分けたりすることを明らかにしました。
概要
一般に小鳥と呼ばれる鳴禽類(スズメ亜目)は、社会性が高く、音声や動作を用いて仲間とコミュニケーションをとりますが、彼らがどのようにして他の個体を認識し、注意を向けるのかについて客観的に観察することは困難でした。
東北大学大学院生命科学研究科の藤林瑞季(ふじばやし みずき)博士前期課程大学院生、安部健太郎(あべ けんたろう)教授(高等研究機構・言語AI研究センター兼任)は、小鳥の注意視線を可視化できる行動解析システムを新たに開発しました。これは、小鳥の頭部にプラスチック製の軽量マーカーを設置し、その動きを高精度に追う、マーカー付きモーションキャプチャーシステム(注1)で、頭の傾きから小鳥の視線を計測できます。この解析システムを用いてキンカチョウが相手によって左右の視野を使い分けること、モニタに提示した仲間の動画にも同様に反応することを明らかにしました。
小鳥が音声・非音声コミュニケーション時にどのように情報を認識し注意を向けるのかを解析し、動物コミュニケーションの脳内機構の解明に貢献することが期待される成果です。
本研究成果は9月4日にCell Reports Methods 誌(電子版)に掲載されました。
東北大学大学院生命科学研究科の藤林瑞季(ふじばやし みずき)博士前期課程大学院生、安部健太郎(あべ けんたろう)教授(高等研究機構・言語AI研究センター兼任)は、小鳥の注意視線を可視化できる行動解析システムを新たに開発しました。これは、小鳥の頭部にプラスチック製の軽量マーカーを設置し、その動きを高精度に追う、マーカー付きモーションキャプチャーシステム(注1)で、頭の傾きから小鳥の視線を計測できます。この解析システムを用いてキンカチョウが相手によって左右の視野を使い分けること、モニタに提示した仲間の動画にも同様に反応することを明らかにしました。
小鳥が音声・非音声コミュニケーション時にどのように情報を認識し注意を向けるのかを解析し、動物コミュニケーションの脳内機構の解明に貢献することが期待される成果です。
本研究成果は9月4日にCell Reports Methods 誌(電子版)に掲載されました。
図. 開発した行動解析システムのイメージ図
本研究では頭部に装着した色付き軽量マーカーおよび体の動画解析から鳴禽類の体の位置と向き、および頭の角度の情報を高速・高精度に取得、彼らの視線を明らかにし、何に注意を向けているのかを判断します。
本研究では頭部に装着した色付き軽量マーカーおよび体の動画解析から鳴禽類の体の位置と向き、および頭の角度の情報を高速・高精度に取得、彼らの視線を明らかにし、何に注意を向けているのかを判断します。
【用語説明】
注1. モーションキャプチャーシステム:被検体の体に小型のマーカーを装着し、カメラで個々のマーカーの位置を記録することにより体の部分の動きを詳細に解析する技術。機械学習を使用したマーカー不要のトラッキング法も近年開発が進むが、より高速かつ高精度に動物の体の動きを解析できる利点がある。
【論文情報】
Mizuki Fujibayashi, Kentaro Abe* (2024) A behavioral analysis system MCFBM enables objective inference of songbirds’ attention during social interactions. Cell Reports Methods
DOI: 10.1016/j.crmeth.2024.100844
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(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 安部 健太郎
TEL: 022-217-6228
Email: k.abe(at)tohoku.ac.jp
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(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
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