発表のポイント
- 大員環は、多くの生物活性天然物に含まれる基本骨格であるため、その形成法の開発は有機合成において極めて重要な研究課題です。
- ニッケル/ジルコニウム/クロムを用いる新しい大員環形成反応の開発に成功しました。
- 新たな大員環形成反応を駆使して(—)-ゼアラレノンと(—)-ゼアララノンの効率的な全合成を達成しました。
概要
大員環は、多くの生物活性天然物が有する基本骨格です。そのため、大員環形成反応の開発は有機合成において極めて重要な研究課題として位置付けられています。これまで、分子内アルキル化、マクロラクトン化やマクロラクタム化、あるいは閉環メタセシス反応などが汎用されてきました。しかし上記以外で、信頼性の高い方法論には限りがあり、新たな大員環形成法の開発が望まれています。
東北大大学院生命科学研究科の梅原厚志助教、佐々木誠教授、川北皓平氏(博士前期過程2年生)は、ニッケル/ジルコニウム/クロムを用いる新たな大員環形成反応の開発に成功しました。さらに、この方法論を駆使して、天然物である(—)-ゼアラレノン(注1)の最短工程数(10工程)、最高総収率(32%)で全合成を達成しました。加えて、類縁天然物である(—)-ゼアララノンの全合成も最短工程数(11工程)、最高総収率(27%)で達成しました。
本研究成果は、2024年9月10日付で米国化学会誌The Journal of Organic Chemistryにオンライン掲載されました。
東北大大学院生命科学研究科の梅原厚志助教、佐々木誠教授、川北皓平氏(博士前期過程2年生)は、ニッケル/ジルコニウム/クロムを用いる新たな大員環形成反応の開発に成功しました。さらに、この方法論を駆使して、天然物である(—)-ゼアラレノン(注1)の最短工程数(10工程)、最高総収率(32%)で全合成を達成しました。加えて、類縁天然物である(—)-ゼアララノンの全合成も最短工程数(11工程)、最高総収率(27%)で達成しました。
本研究成果は、2024年9月10日付で米国化学会誌The Journal of Organic Chemistryにオンライン掲載されました。
図1.
【謝辞】
本研究は文部科学省科学研究費 若手研究(JP23K14314) の支援のもとで行われました。
【用語説明】
注1. (—)-ゼアラレノン
フザリウム属(Fusarium, アオカビ)のカビが農作物に付着、増殖することで産生される天然物。豚や羊などの家畜の生育増進ホルモン剤であるゼラノールの前駆体として利用価値が見出されている。一方で、内分泌かく乱物質の一つとしても注目されている。
【論文情報】
Atsushi Umehara*, Ko-hei Kawakita, Makoto Sasaki*. (2024) Total Synthesis of (–)-Zearalenone and (–)-Zearalanone: A Macrocyclization Strategy by Ni/Zr/Cr-Mediated Reductive Ketone Coupling. The Journal of Organic Chemistry
Atsushi Umehara*, Ko-hei Kawakita, Makoto Sasaki*. (2024) Total Synthesis of (–)-Zearalenone and (–)-Zearalanone: A Macrocyclization Strategy by Ni/Zr/Cr-Mediated Reductive Ketone Coupling. The Journal of Organic Chemistry
DOI : 10.1021/acs.joc.4c01793
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
助教 梅原厚志
TEL: 022-217-6214
Email: atsushi.umehara.e3(at)tohoku.ac.jp
http://sasaki-umehara-lab.moon.bindcloud.jp/
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
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TEL: 022-217-6214
Email: atsushi.umehara.e3(at)tohoku.ac.jp
http://sasaki-umehara-lab.moon.bindcloud.jp/
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
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高橋さやか
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