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鳴禽類さえずりの網羅的な音響特徴の解析と神経細胞の活動制御技術の確立

鳴禽類さえずりの網羅的な音響特徴の解析と神経細胞の活動制御技術の確立

2026.03.04 11:30

発表のポイント

  • キンカチョウ培養神経細胞および生体キンカチョウ・ジュウシマツにおいて、DREADD法を適用し、さえずり発声に関わる神経回路の活動を薬剤のタイミングで一時的に抑制することに成功しました
  • 鳴禽類のさえずり発声の音響特性を継続的に解析することができる解析プログラムを開発し、DREADDによる神経活動の操作後のさえずり発声への影響を評価しました
  • 操作する脳領域によるさえずり発声への影響の違い、種間での働きの違いを明らかにしました
 
 
 

概要

 神経科学分野において、DREADD (designer receptors exclusively activated by designer drugs)と呼ばれる化学遺伝学的神経活動操作法は、あらかじめターゲットとした脳内の特定の神経細胞のみを人為的に制御する研究手法です。この手法は、マウスやサル等多くの実験動物種では多くの使用実績がありますが、鳴禽類への適用はこれまで成功例がほとんどありませんでした。
 東北大学大学院生命科学研究科の宋晨伊大学院生、藤林瑞季大学院生、安部健太郎教授らは、鳴禽類に属す鳥類で、音声コミュニケーションの研究に使用されるキンカチョウおよびジュウシマツに対して DREADD による神経活動操作法を適用し、さえずりの音響特性に現れる操作の結果の評価をさえずり解析プログラムを用いて高スループットで解析しました。研究の結果、鳴禽類においてもDREADDは機能すること、操作する脳の領域によってさえずりの音響特性が変わること、哺乳類よりも高い濃度の薬剤が必要なこと、そしてキンカチョウとジュウシマツの2種間でもさえずり関連脳領域の使われ方の違いがあることなどを明らかにしました。
 本研究は鳴禽類を用いた研究の特徴であるさえずり学習や言語学習、音声コミュニケーションに関連する神経基盤の解明の手掛かりとなることが期待されます。
 本研究成果は3月4日付で科学誌 iScience (電子版)に著者校正版がオンライン掲載されました。
 
 
【論文情報】
タイトル:High-Throughput Assessment of Vocal Modulation Following Chemogenetic Inhibition in Songbirds
著者:宋晨伊*, 藤林瑞季*、安部健太郎**
*共同筆頭著者、 **責任著者:東北大学大学院生命科学研究科 教授 安部健太郎
掲載誌:iScience
DOI:10.1016/j.isci.2026.114981 
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2589004226003561?via%3Dihub
 
 
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 安部 健太郎(あべ けんたろう)
TEL: 022-217-6228
Email: k.abe(at)tohoku.ac.jp
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋 さやか(たかはし さやか)
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp