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世界初、カリブ海型シガトキシンC-CTX1の全合成に成功 ―C3位異性体の毒性発見で中毒予防研究に大きく前進―

世界初、カリブ海型シガトキシンC-CTX1の全合成に成功 ―C3位異性体の毒性発見で中毒予防研究に大きく前進―

2026.03.12 11:00

発表のポイント

  • 世界最大規模の急性自然毒食中毒、シガテラ中毒の主要原因毒であるカリブ海型シガトキシン(C-CTX)の世界初となる化学合成に成功しました。
  • C-CTX1の3位異性体の化学合成にも成功し、その3位異性体がC-CTX1よりも3倍ほど毒性が強いことも見出しました。
  • シガテラ中毒予防のための微量検出法開発に必要な抗体作成を可能にし、さらに標準試料の提供を実現した重要な研究成果です。
     

概要

 
 シガテラ中毒は、熱帯・亜熱帯海域の魚類の摂食により発生する世界最大規模の急性自然毒食中毒であり、年間2~6万人の中毒患者の発生が推定されています。その原因毒であるシガトキシン(CTX)類(注1)は、渦鞭毛藻により産生され、食物連鎖を通じて魚類に蓄積される複雑な巨大ポリ環状エーテル天然物(注2)です。近年、カリブ海型シガトキシン(C-CTX)による中毒がヨーロッパでも継続的に発生しています。そのため、その予防対策は世界的に急務の課題となっています。
 東北大学大学院生命科学研究科の佐々木誠教授らのグループは、遷移金属触媒を用いた環化反応やカップリング反応を駆使した収束的(注3)な合成戦略により世界で初めてC-CTX1の全合成(注4)に成功しました。さらに、C-CTX1の3位異性体の化学合成にも成功し、その3位異性体がC-CTX1よりも3倍ほど毒性が強いという驚くべき新発見も見出しました。本成果はシガテラ中毒予防のための純粋な標準試料の供給を初めて実現した重要な成果です。
 本成果はアメリカ化学会誌The Journal of American Chemical Societyに3月9日付で掲載されました。
 

図1. カリブ海型シガトキシンC-CTX-1 と3位異性体の化学構造
 
 
【用語説明】
注1.    シガトキシン類:シガテラ食中毒の主要原因毒であり、単細胞藻類の一種である渦鞭毛藻が生産し、食物連鎖を介して多様な魚類に蓄積される。電位依存性ナトリウムイオンチャネルに結合し、これを活性化することにより、強力な神経毒性を発現する。
 
注2.    ポリ環状エーテル天然物:多数のエーテル環が梯子状に連なった特異な構造を有する海洋天然物である。その多くが巨大な化学構造と強力な生物活性を有している。
 
注3.    収束的: 合成経路を設計する方法には、1つの出発原料から直線的に経路をたどって目的物を得る「直線型合成」(linear synthesis;リニア合成)と、複数の出発原料から複数の中間体をそれぞれ合成し、適当な段階でこれら中間体を結合させて目的物を得る「収束型合成」(convergent synthesis;コンバージェント合成または並列型合成)がある。複雑な構造を持つ巨大分子を合成する場合には、総収率などの点で収束型合成が圧倒的に有利である。
 
注4.    全合成:天然物を適切にデザインした合成経路を経て人工化学合成すること。多段階の精密有機合成反応を駆使して達成される。
 
 
 
【論文情報】
 Makoto Sasaki,*  Atsushi Umehara, Kohtaro Sugahara, Masayuki Satake, and Takeshi Tsumuraya. (2026) Convergent Total Synthesis of Caribbean Ciguatoxin C-CTX1 and Its C3-Epimer.  The Journal of American Chemical Society .
DOI:10.1021/jacs.6c01247
URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.6c01247
 
 
詳細
 
関連リンク
 
 
 
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 佐々木 誠 (ささき まこと)
TEL: 022-217-6212 
Email: masasaki(at)tohoku.ac.jp
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
 
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