所属：　分子生命科学専攻　生命構造化学分野
名前：　佐々木　誠
URL：　http://www.agri.tohoku.ac.jp/kanshoku/

佐々木教授のグループで報告した、鈴木－宮浦カップリング反応を活用したポリ環状エーテル天然物全合成が、2010年ノーベル化学賞を受賞された北大名誉教授・鈴木章先生のノーベル受賞講演（ストックホルム大学、2010年12月8日）で紹介されました。
　詳しくはこちらからご覧ください（ノーベル賞公式WEBサイト）：
http://nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2010/suzuki-lecture.html

　自然界から得られる天然有機化合物（天然物）のなかには、人智を超えた斬新な化学構造と極めて強力な生理活性をもつものが数多く知られています。しかし、人類にとって有益な生理活性を示す天然物は自然界からは極微量しか得られない場合が多く、医薬品開発や生命科学研究などの社会的要請に応えるためには、それらの化学合成（全合成）による供給が不可欠となっています。
　我々のグループでは、海洋生物が産生するポリ環状エーテル天然物の効率的な全合成を基盤として、その機能解析を目指して研究に取り組んでいます。これまでに、鈴木－宮浦カップリング反応を活用したポリ環状エーテル分子の効率的な合成方法を独自に開発し、合成困難であったガンビエロール、ギムノシンＡ、ブレベナールなどの複雑なポリ環状エーテル天然物の全合成を世界に先駆けて達成しました。これらの全合成によって、物質供給と様々な人工類縁体の合成が可能になり、これまで謎に包まれていたこれら天然物の生理活性の謎が解き明かされつつあります。