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研究科概要

研究科長あいさつ

東北大学大学院生命科学研究科長 彦坂 幸毅


東北大学大学院生命科学研究科長
彦坂 幸毅

 
 
 「同じ場所にとどまるためには、思いっきり走らなければならない」
 

 これは、Lewis Carroll作「鏡の国のアリス」に登場する赤の女王の台詞の一節です(河合祥一郎 訳)。この台詞にちなみ、ちょうど50年前に提唱されたのが「赤の女王仮説」です(Van Valen 1973)。環境の変化や競争相手の進化に対抗するために、生物は進化し続けなければいけない。さもなくば、絶滅に至ってしまうかもしれない、というものです。実際に、地球温暖化、環境破壊に伴う生物多様性の喪失、新型コロナウィルスの感染拡大など、周囲を取り巻く環境がいかに変動的であるか、対応が遅れた生物がいかに脆弱か、ということを私たちは目の当たりにしています。生命科学研究の重要性は日に日に増していると言えます。
 

 大学、研究科、そして研究者もまた様々な環境の変化にさらされつつも、進化し続けています。新たな知見や技術の導入、研究設備の構築や改良、組織の改変、新たな協同や交流の推進など、私たちは常に変わろうとしています。しかしながら、目指す方向には変わりがありません。インパクトの高い研究成果をあげることと、社会に貢献する学生を育てることです。
 

東北大学大学院生命科学研究科は、東北大学における生命科学研究の中核拠点として2001年に設立されました。「こころと体を制御するしくみ」の解明を担う脳生命統御科学専攻、「環境変動と生命活動の相互作用」を解析する生態発生適応科学専攻、「ケミカルバイオロジーとゲノムによるイノベーション」を推進する分子化学生物学専攻の3専攻から構成されています。分子から生物圏まで、生命に関わるすべての階層を研究対象とし、有機化学、分子生物学、遺伝学、ゲノム科学、細胞生物学、発生学、生態学、進化学とミクロからマクロまで幅広い研究分野を網羅していることが当研究科の強みです。また、脳神経科学と生態学には特に力を入れ、他大学にない独自性をもっています。
 

赤の女王は、上の台詞に続いてこう話します。「どこか別の場所に行きたいなら、少なくともその二倍速く走らなきゃ!」 私たちはさらなる努力によって新たな発見を追い求めます。私たちと一緒に「新しい景色」を見てみませんか?
 
 
 
令和5年4月1日