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研究分野

生態発生適応科学専攻 :
個体ダイナミクス講座

研究

動物発生 分野

動物発生 分野

脊椎動物における形づくりの発生メカニズム

 全ての生物には形があります。動物の場合、その形態の多くは発生過程で作られます。頭や四肢、尾といった外部形態や、脳や心臓、肝臓などの内部構造の形態も、すべて発生過程において胚(発生中の個体)に内在するプログラムによって作られるのです。遺伝情報として細胞が持つそのプログラムは、細胞の増殖や死、細胞分化や移動、そして組織化を制御し、細胞から作られる骨、筋肉、血管などの組織はさらに有機的に組み合わさり、高次構造である器官に適切な機能を与える形態を作り出します。私たちは脊椎動物の運動器官と生殖器官をモデルとして、発生プログラムがどうやって細胞の挙動を制御し、複雑な形態を持った器官を作り出すのかを中心テーマとして、さまざまなアプローチの研究を行っています。
 動物は種によってさまざまな形態を持っていますが、その多様性は発生プログラムの変形によって生み出されます。魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類の動物を飼育し胚を取り、その発生プログラムを比較することで動物形態の多様性を生み出す発生プログラムの変形(遺伝子発現の変化や細胞の挙動の変化)を調べることも私たちのアプローチのひとつです。

特色・実績

 特色は、スタッフらとの議論の中から学生一人ひとりが独自の研究テーマを考え、実験方法や実験系を自らのアイデアで構築し研究を行う、自由な空気です。
 ニワトリの指形成過程の詳細な解析による指の同定をもとに恐竜と鳥類の直接的な系統関係を発生学的に立証する研究を行ったり、ゼブラフィッシュの外骨格の発生的起源(細胞種)を特定することによって脊椎動物の骨の起源と進化を考察したり、発生学を進化にからめた研究をしています。また一方で、四肢再生過程の分子メカニズムの研究を行っており、四肢再生と創傷治癒の関係を調べたり、器官形成におけるエピジェネティックな遺伝子調節の役割について調べたり、両生類のトランスジェニック技術を駆使した研究を進めています。発生学や再生学の教科書(Developmental Biology by S. Gilbert, Principles of Development by L. Wolpert, Regenerative Biology and Medicine by D. Stocumなど)に取り上げられるなど、さまざまな実績をあげてきました。

研究室URL http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/tamlab/

教員紹介

教授 田村 宏治
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  • 四肢・鰭発生の基盤メカニズムと四肢形態の多様性進化メカニズム
  • アフリカツメガエルとマウスの四肢再生・創傷治癒の分子メカニズム
助教 上坂 将弘
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脊椎動物の進化と発生の関係性