生命情報システム科学 分野
多様なデータをシステムの理解へつなげる生命情報科学
測定技術の飛躍的発展により,近年,生物の様々な階層において高分解能,高精度,大容量のデータが得られるようになりました.数万人規模のゲノム解析が世界各地で進み,遺伝子の発現情報やタンパク質の構造・機能の情報も急激に蓄積しています.また,分子レベルの情報のみならず,脳神経系の活動記録や器官の発達についての画像情報など,細胞・組織・臓器レベルの情報も増加し続けています.このような多様な特性をもつビッグデータから最大限の知識を引き出すためには,それぞれのデータの特徴や解析目的に応じたテーラーメイドの解析を行うことが求められます.実験データからは生命基盤となるシステムの仮説を導出し,次の実験計画を導きます.臨床データからは個別医療のための診断を目指します.実験データと臨床データをつなげるバイオバンクの整備が進んでいる現在,生命情報ビッグデータを扱う生命情報学の役割は極めて重要であり,私たちは情報科学の力を使って生命システムの理解に迫り,また個々人がより健康に過ごすことができるように役立てていきたいと考えています.