RNA生理学 分野
我々の体を構成するたんぱく質、DNA やRNAといった生体分子は様々化学修飾を受けることで新たな機能を獲得し、細胞や臓器の高次機能を制御します。また、外界からの化学的・物理的・生物学的なストレス、あるいは疾患や加齢などの内的要因が生体分子の修飾状態を変化させ、生体機能を障害し疾患発症の原因となります。これらの修飾の網羅的な解析を「モドミクス(Modification +Omics)」と名付け、私たちは中でも特にRNA 修飾に注目し、先進的な質量分析装置やRNA 解析手法を用いて、細胞・モデル動物・ヒトを研究材料として、RNAモドミクスと代謝・免疫・老化などの生理機能やヒト疾患病態との関わりについて研究を行っています。特に近年、RNAウイルスである新型コロナウイルスの世界的な蔓延に対して、化学修飾を人為的に導入したmRNAワクチンがパンデミックの制圧の原動力になっていることが示すように、RNAとRNAに付与される化学修飾は生命の営みを理解する上で不可欠な研究分野であり、次世代医療にとっても不可欠な技術となっています。私たちはRNAとその修飾を通して、生命の理解と疾患治療に貢献したいと考えて、日々研究を行っています。