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研究分野

分子化学生物学専攻 :
分子ネットワーク講座

研究

植物生殖システム 分野

植物生殖システム 分野

 植物は発芽した場所に根を生やし、その環境に合わせた生長、生殖戦略を採用することで繁栄してきました。生殖戦略から見た場合、大きな役割を担う生殖器官として、雄ずいと雌ずいが共存する「両性花」があります。「両性花」は、自己花粉で確実に次世代を残すことができる自殖と同時に、花粉媒介昆虫との共進化を通じて、他個体との交雑による遺伝的多様性の維持を可能とする他殖も行える仕組みを構築してきました。つまり、植物は進化のプロセスにおいて、生殖器官の構造や情報伝達を分子レベルで変化させることによって、「両性花」の自殖と他殖のバランスを調整し、種ごとに周囲の環境に適した生殖システムを確立しています。その結果として、自殖だけではなく、他殖を促進する自家不和合性や雌雄異熟、また雌雄異株など多岐にわたる生殖システムが創出されています。
 
 本分野では、植物の生殖システムのひとつである自家不和合性に焦点を当て、遺伝学的、生理学的観点から、植物の自殖と他殖を制御する分子メカニズムを明らかにし、植物の生殖戦略に対する学術的理解を深化させ、将来的には、品種改良や生態系維持などに貢献することを目的としています。
 

特色・実績

 本分野ではこれまで、「アブラナ科植物の自家不和合性」における自他識別機構の解明を行い、高い実績を残してきた。さらに、情報科学・有機化学・生化学などとの領域横断的な共同研究を行い、分野内に閉じこもることなく国内外へ広く共同研究を展開する点も特色である。
 
 これまでの実績としては、アブラナ科植物の自家不和合性や高等植物の生殖器官的特的遺伝子の解析に関連して、国内で10件を超える受賞歴(第7回日本学術振興会賞、 第11回「日経BP技術賞」大賞、平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰、平成25年度野依科学奨励賞、など)がある。また、その研究は、Nature, Nature Genetics, Nature Plants, Nature Communications, Science等にも掲載され、高く評価されている。特に、アブラナ科植物の自家不和合性の研究では、世界トップクラスの研究を展開している。
 
研究室URL http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/

教員紹介

教授 渡辺 正夫
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アブラナ科植物の自家不和合性における自他識別機構の解明
高等植物の受粉過程に関わる鍵因子の解析と環境適応進化
高等植物の栽培化を制御する因子の解析と環境適応
 
准教授(クロスアポイントメント) 稲葉 靖子
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花の発熱を誘導する分子機構と植物が発熱を獲得/喪失した進化過程の解明
助教 林 真妃
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アブラナ科植物の受粉反応を仲介する雌ずい乳頭細胞のシグナル伝達機構の研究