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研究成果

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色と匂いの記憶は脳の同じ部分で処理される

色と匂いの記憶は脳の同じ部分で処理される

2014.08.22 08:27

生命機能科学専攻 神経行動学分野

谷本 拓

 私たちの脳はポジティブな経験(報酬)やネガティブな経験(罰)をその時の感覚情報と結びつけて記憶しています。この「連合記憶」の例としては、寿司で食あたりした経験後、「体が覚えていて」寿司が食べられなくなるだけでなく、関連する刺身や生魚の匂いのする食べ物全般を食べられなくなることがあげられます。これはネガティブな連合記憶の例だといえます。「連合記憶」は様々な感覚情報を結びつけるのですが、「匂い」や「色」のような異なる感覚器官から生じた情報はどのように報酬や罰によって処理されているのかは明らかにされていませんでした。

 この異なる感覚情報に関する連合記憶の脳内での処理方法、神経回路の仕組みを解明することを目的として、東北大学大学院生命科学研究科の谷本拓教授 (脳機能解析構築学講座) らの研究グループはショウジョウバエを用いて研究を行いました。同研究グループは、砂糖(報酬)や電気ショック(罰)を伝達する神経細胞を阻害すると、嗅覚記憶と視覚記憶の両方ができなくなることを発見しました。さらに報酬や罰の情報が伝達される「キノコ体」と呼ばれる脳構造も、嗅覚記憶同様、視覚記憶にも必要であることを解明しました。これらの結果から、色と匂いの連合記憶は同じ回路を使っていることが新たにわかりました。

 本研究において異なる感覚情報の連合記憶は脳の特定の神経回路で一括処理されていることが明らかとなりました。この結果は脳の働きの効率化という大変興味深いメカニズムを示唆しています。

プレスリリースは次のとおりです。

本研究成果は2014年8月19日に「eLIFE」誌オンライン版に掲載されました。

連絡先
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 谷本 拓 (たにもと ひろむ)
電話 022-217-6223 (or 022-217-6224)
Eメール hiromut*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
電話 022-217-6193
Eメール lifsci-pr*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

hiromut※m.tohoku.ac.jp (※を@に置き換えてください)