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メラニン合成酵素の分解を促す新分子を発見 〜新分子をターゲットにした新たな美白剤への応用に期待〜

メラニン合成酵素の分解を促す新分子を発見 〜新分子をターゲットにした新たな美白剤への応用に期待〜

2015.02.05 10:11

生命機能科学専攻 膜輸送機構解析分野

福田 光則

東北大学大学院生命科学研究科の谷津彩香修士大学院生、島田光修士大学院生、大林典彦助教、福田光則教授らのグループは、メラニン合成酵素の分解を促す新分子を同定することに成功しました。

有害な紫外線からわたしたちの体を守るメラニン色素は、メラノソームと呼ばれる特殊な袋(小胞)の中でメラニン合成酵素によって合成されています。メラニン合成酵素はメラノソームにはじめから存在する訳ではなく、メラノソームの袋の元ができてから、後からメラノソームへ輸送されることが知られています。私達はこれまで、この輸送を制御する分子としてVarp(バープ)を同定しており、この分子の発現異常によりメラニン合成酵素の分解(すなわち、メラニン色素量の減少)が促進されることを見出しています。しかし、メラノサイトにおけるVarp分子の発現調節に関わる仕組みはこれまで全く分かっていませんでした。  
 今回、研究グループはVarpに結合する新たな分子として、Rab40Cを同定することに成功しました。Rab40CはVarp分子のユビキチン化を促進し、プロテアソームと呼ばれるタンパク質分解酵素でVarp分子を分解に導くことが明らかになりました。したがって、Rab40Cをメラノサイトに過剰に発現させるとVarp分子の分解が、逆にRab40Cの発現を低下させるとVarp分子の蓄積が観察されますが、メラニン合成酵素の輸送には適切な量のVarpが必要なため、いずれの場合でもメラニン合成酵素がメラノソームに正しく輸送されず、結果的に分解されてしまうことを突き止めました。

今回の『メラニン合成酵素には直接作用せず、メラニン合成酵素の分解を促進する分子』の発見により、従来の「メラニン合成酵素の直接的な酵素活性の阻害」とは異なるアプローチの美白化粧品の開発に応用されることが期待されます。

本研究成果は、英国の科学雑誌『Biology Open』電子版に2月6日に掲載されます。

詳細(プレスリリース本文)

※本研究成果に関する記事がJSTサイエンスポータルサイトや科学新聞などに掲載されました。

【論文】
Yatsu, A., Shimada, H., Ohbayashi, N. & Fukuda, M. (2015) Rab40C is a novel Varp-binding protein that promotes proteasomal degradation of Varp in melanocytes. Biol. Open, DOI: 10.1242/bio.201411114

「メラノサイトにおいてRab40CはVarp分子に結合し、プロテアソームでの分解を促進する」

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科 膜輸送機構解析分野
担当 福田 光則
nori※m.tohoku.ac.jp(※を@に置き換えて下さい)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか
lifsci-pr※ige.tohoku.ac.jp(※を@に置き換えて下さい)

nori※m.tohoku.ac.jp (※を@に置き換えて下さい)