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細胞膜上のアミノ酸トランスポーターを分解する新たな機構を解明

細胞膜上のアミノ酸トランスポーターを分解する新たな機構を解明

2013.03.13 09:14

生命機能科学専攻 膜輸送機構解析分野

福田 光則

 膜輸送機構解析分野では、細胞外からのアミノ酸の取り込みに関わるアミノ酸トランスポーターの新たな品質管理(分解)機構とその生理学的意義の一端を初めて解明しました。

私達の体を構成する細胞は、蛋白質の部品となるアミノ酸を全て自前で合成している訳ではなく、細胞外からも取り入れています。このアミノ酸の取り込みの役割を担う細胞膜上の蛋白質が「アミノ酸トランスポーター」です。細胞が正しく生存・増殖するためには、細胞膜上のアミノ酸トランスポーターの発現量を維持することが重要と考えられますが、細胞膜と細胞内をリサイクルされるアミノ酸トランスポーターの品質管理の仕組みはこれまで全く解明されていませんでした。

今回、私達はマウスの胚性線維芽細胞(MEF細胞)を用いて、細胞膜上のアミノ酸トランスポーターの一種PAT4(パット4)がリサイクリングエンドソームを経由してリソソームで分解されるという新規の品質管理機構を明らかにしました。すなわち、PAT4は細胞膜と細胞内のリサイクリングエンドソームを行き来するだけでなく、その一部は低分子量G蛋白質Rab12の作用によりリソソームへと輸送され分解を受けることを突き止めました。このためRab12を欠損するMEF細胞では、細胞膜上のPAT4量が増大し、結果的に細胞内アミノ酸量が増大することが明らかになりました。

細胞内アミノ酸量の増大は細胞増殖とも密接な関連があり、PAT4はがん細胞で発現が上昇していることから、今後、がん治療という観点からRab12によるPAT4分解の研究が進展することが期待されます。

本研究成果は、3月12日発行のEMBO Reportsオンライン版に掲載されました。http://www.nature.com/embor/journal/vaop/ncurrent/abs/embor201332a.html

 プレスリリース本文は下記URLから参照ください。http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press_20130306_01web.pdf

本件に関する記事が3月13日の河北新報などに掲載されています。
新聞記事はこちらのURLからご覧ください。
http://www.kahoku.co.jp/news/2013/03/20130313t15015.htm