日本共生生物学会第4回大会で発表賞をいただきました。

当研究室所属の番場大 (博士研究員) が日本共生生物学会第4回大会 (Symbio2020)で若手発表賞をいただきました。演題は「マメ科植物-根粒菌共生関係における遺伝子型 × 遺伝子型 (G × G) 相互作用に関連する植物遺伝子座にかかる自然選択」,マメ科植物-根粒菌共生関係に関するゲノムワイド関連解析 (Genome-Wide Association Study: GWAS)を行い,特定の根粒菌依存的に生育が変化する表現型に関連する遺伝子座を特定し,その進化過程を推定した研究になります。おめでとうございます。

副賞は寄生虫のはなしという本。生物の共生関係と聞くと協力関係を思い浮かべることが多いですが,寄生関係も広い意味での共生に含まれます。双方に利益がある場合が相利共生,片方に利益がある場合は片利共生。片利共生のうち,片方に明らかな害があるときに寄生と表現されます。しかし,これらの関係は環境などによって変化する非常にあいまいなものです。このようなあいまいだけれど確かに存在する生物間相互作用がどのようにして規定されるのか,とても興味深いものです。

FEMS Microbiology Ecology誌に論文が発表されました

当研究室の番場大さん(博士研究員) の論文がFEMS Microbiology Ecology誌に出版されました。マメ科植物と根粒菌の共生関係では互いに最適な関係があまり観察されないことが知られているのですが,その理由の一つとして根粒菌が持つ共生に必要な遺伝子群が他の細菌に転移することで共生根粒菌に多様性が生まれ,互いに最適な関係として固定することが阻害される,というシナリオを提唱する論文です。

Masaru Bamba*, Seishiro Aoki, Tadashi Kajita, Hiroaki Setoguchi, Yasuyuki Watano, Shusei Sato, Takashi Tsuchimatsu*, Massive rhizobial genomic variation associated with partner quality in Lotus–Mesorhizobium symbiosis, FEMS Microbiology Ecology, fiaa202, https://doi.org/10.1093/femsec/fiaa202

鹿島台圃場でのフィールドワーク

私たちの研究室では,大崎市鹿島台にある圃場で野外実験を行っています。現在はミヤコグサ,ダイズ,イネを栽培中です。週に一度圃場に出て,メンテナンスや表現型の測定をおこなっています。多数の遺伝的に異なる系統を同時に成育させることができるので,鹿島台圃場での実験は私たちの研究の中でとても重要なものになります。

Yusdar君の博論審査会

8月12日にYusdar君の博士論文公開審査会がありました。博士論文のタイトルは”Elucidation of the molecular mechanisms for overwintering phenotype of Lotus japonicus controlled by natural variation.” マメ科植物ミヤコグサが日本に移入した後に北方環境へ適応していく過程を圃場実験やRNA発現解析などから多角的に明らかにしました。

今年の論文審査会はオンライン開催でしたが,学生から教員まで50人ほどが聞きに来てくださいまして,とても盛り上がるものでした。Yusdar君おつかれさまでした。

New Lab.

佐藤修正研究室が独立し,研究分野を持つことになりました。研究分野名は共生ゲノミクス分野 (Symbiosis Genomics),共生ゲノミクス分野は東北大学生命科学研究科 生態発生適応科学専攻 (第2専攻) 生態ダイナミクス講座に所属します。また,独立に伴い研究室ホームページを作成しましたので,随時更新していくつもりです。よろしくおねがいします。