当研究室の助教である番場さんの論文がFEMS Microbiology Ecologyより出版されました。
持続可能な農業を推進する上で,植物と土壌微生物の関係を理解することは不可欠であり,これまで数多くの研究が行われてきました。我々の研究グループはマメ科植物ミヤコグサを用いて,植物品種,土壌微生物群集,土壌環境の三つの要素とそれらの相互作用が植物生育に及ぼす影響を実験室内で評価する系を確立しました。研究結果から,植物品種と微生物群集の組み合わせが,微生物群集の差異よりも生育への影響が大きいことが明らかになりました。この発見は,植物品種と土壌微生物群集の組合せを最適化することで植物生育を向上するという新たな農業戦略を促進し,持続可能な農業の実現への貢献が期待されます。また,これらの知見は農業だけでなく植物の保全や生態学研究にも役立つ可能性があります。本研究では,どのような遺伝子型を持つ植物品種がどのような土着の土壌微生物群集と出会うかどうかが,植物がその場所で生育するのに重要な要素であることを示しています。このような知見は,特に絶滅危惧植物の生息域外保全を行う場合に役立てられる可能性があります。
Masaru Bamba, Turgut Yigit Akyol, Yusuke Azuma, Johan Quilbe, Stig Uggerhøj Andersen, Shusei Sato. (2024) Synergistic effects of plant genotype and soil microbiome on growth in Lotus japonicus. FEMS Microbiology Ecology [Link] [プレスリリース][報道]
