土壌微生物学会にてメタン酸化細菌の研究成果を紹介しました

6月15日-16日に名古屋大学で開催された日本土壌微生物学会2024年度大会に当研究室のArgenさん (助教) と三井先生 (准教) が口頭発表を行いました。三井先生は日本の水田から採取されたメタン酸化細菌がどのような特徴を持っているのか,イネとの相互作用を含めて観察した結果を示しました。Argenはメタン酸化細菌の一部の菌株が酸素存在下においても窒素固定活性を持っていることを実験的に示しました。これらの成果はそろそろ論文となる (はず) ですので,詳細はその時に解説しましょう。

発表内容は以下。

  • Characterization of rice root colonization by diverse methanotroph isolates from paddy-grown rice plants
    Argen Adem Abdela1, Taiho Komatsu1, Fumika Oe2, Rina Shinjo2, Takeshi Watanabe2, Susumu Asakawa2, Kiwamu Minamisawa1, 〇Hisayuki Mitsui1, Shusei Sato1
    (1Graduate School of Life Sciences, Tohoku Univ., 2Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya Univ.)
  • Unique expression patterns of nitrogen fixation genes in an aerobic methane-oxidizing bacterium under high oxygen conditions
    〇Argen Adem Abdela1, Rina Shinjo2, Takeshi Watanabe2, Susumu Asakawa2, Kiwamu Minamisawa1, Hisayuki Mitsui1, Shusei Sato1
    (1Graduate School of Life Sciences, Tohoku Univ., 2Graduate School of Bioagricultural Sciences, Nagoya Univ.)

千葉県でフィールドワークを行いました

今週末も昨年度と同様に房総半島にてフィールドワークを行いました。目的は千葉県での野生ミヤコグサと共生微生物群集の調査になります。初日は移動と木更津土曜学校でのボランティアを行いました。小さな子供たちを外国人と交流させたいとのことで,Yusdarさんと滞在中のAkyolさんに子供たちは興味津々です。

日曜日には本格的にフィールドワークをはじめ,まずは昨年訪れた地点で再調査を行いました。こちらも昨年度以前から管理者の方に良くしていただいており,仙台銘菓を携えご挨拶にも伺いました。

その後は,卒業生である磯村さんが関わっているSHIBUYA-IWAI-PARKへ伺いました。こちらは2018年に廃校した渋谷区立富山臨海学園を再生し,こどもが遊び大人も学べる臨海公園として再生するプロジェクトになります。また,その後は野島崎で植物調査を行いひと段落になります。

今年も田植えを行いました (雨の中で)

本年度も田植えを行いました。今年のイネ研究も土壌に存在するメタン酸化細菌との共生関係を活用した水田由来メタンの放出削減に関連するものです。

あいにくの天気で大変でしたが,みんな頑張ってくれました!お疲れさまでした!

デンマークからAkyol博士が来訪しています

昨日より,Aarhus大学 (デンマーク) よりTurgut Akyol博士が研究室に滞在されます.Akyol博士はINROOT/CCRPプロジェクトの若手研究者招聘プログラムで来日され,3週間滞在されます.Akyol博士は2018年に当研究室 (分野独立前) にて学位を取得し,その後もAarhus大学で精力的に研究を続けておられます.滞在期間中は我々の研究室で実験や,ミヤコグサ野生生息地調査などに携わります.本日は現在進行中のプロジェクトについてセミナーしていただき,その後歓迎会を行いました.

番場さんの論文がFEMS Microbiology Ecologyにて出版されました

当研究室の助教である番場さんの論文がFEMS Microbiology Ecologyより出版されました。

持続可能な農業を推進する上で,植物と土壌微生物の関係を理解することは不可欠であり,これまで数多くの研究が行われてきました。我々の研究グループはマメ科植物ミヤコグサを用いて,植物品種,土壌微生物群集,土壌環境の三つの要素とそれらの相互作用が植物生育に及ぼす影響を実験室内で評価する系を確立しました。研究結果から,植物品種と微生物群集の組み合わせが,微生物群集の差異よりも生育への影響が大きいことが明らかになりました。この発見は,植物品種と土壌微生物群集の組合せを最適化することで植物生育を向上するという新たな農業戦略を促進し,持続可能な農業の実現への貢献が期待されます。また,これらの知見は農業だけでなく植物の保全や生態学研究にも役立つ可能性があります。本研究では,どのような遺伝子型を持つ植物品種がどのような土着の土壌微生物群集と出会うかどうかが,植物がその場所で生育するのに重要な要素であることを示しています。このような知見は,特に絶滅危惧植物の生息域外保全を行う場合に役立てられる可能性があります。

Masaru Bamba, Turgut Yigit Akyol, Yusuke Azuma, Johan Quilbe, Stig Uggerhøj Andersen, Shusei Sato. (2024) Synergistic effects of plant genotype and soil microbiome on growth in Lotus japonicus. FEMS Microbiology Ecology [Link] [プレスリリース][報道]

卒業式/学位授与式が執り行われました

本日は東北大学生命科学研究科卒業式が行われました。本研究室からはArgen (博士),小松くん (修士), 羽山さん (修士) が卒業になります。3人とも研究室での生活で見違えるように成長したかと思います。さらなる飛躍を期待しております。おめでとうございます!

修士課程最終審査会が行われました (2024)

本日は当研究室の小松さん (M2) と羽山さん (M2) が修士課程の最終審査会に臨みました.

小松さんの修士論文の題目は「イネから単離されたメタン酸化窒素固定細菌のイネ根への定着機構の解析」.水田から放出されるメタンは温室効果ガスの1つであり,放出量の削減が求められています.本研究では,メタンを炭素源として消費するメタン酸化細菌の活用を目指して,イネ根への定着機構について明らかにしたものです.

羽山さんの修士論文の題目は「温室効果ガスN2O消去活性をもつクローバー根粒菌の解析」.N2Oもまた農地より主に放出される温室効果ガスの1つであり,大気中での寿命が長く効率的に削減することが求められています.本研究では,クローバー根圏よりN2Oを効率的に吸収・分解できる細菌を探索した結果,クローバー根粒菌の1株がN2Oを除去できることを見出しました.

2人とも社会課題にインパクトを与える研究成果をあげることができたと思います.

お疲れ様でした!

Argen (D3) の博士号審査会が行われました

当研究室のArgen Adem Abdela (D3) の博士号審査会が行われました。博士論文のタイトルは「Characterization of plant colonization and diazotrophic growth by aerobic methane-oxidizing bacteria」好気性メタン酸化窒素固定細菌の生理学的特性やイネ根への定着に関する研究になります。おつかれさまでした!