生命機能科学専攻・膜輸送機構解析分野

福田　光則

　私達の肌や髪の毛の色の元になるメラニン色素は肌や髪の毛を作る細胞自身が合成するのではなく、メラノサイトと呼ばれる特殊な色素細胞で合成され、メラノソームと呼ばれる小胞に貯蔵されています。成熟したメラノソームは「膜輸送」という手段によって細胞内を移動し、メラノサイトの樹状突起先端部から隣接するケラチノサイトや毛母細胞に輸送されて、はじめて肌や毛の髪の暗色化が引き起こされます。メラニン色素は顕微鏡でも容易に観察できることから、メラノソームが細胞内を運搬されることは古くから知られていましたが、その分子メカニズムはこれまで明らかではありませんでした。福田教授はメラニン色素輸送に必須の分子として、低分子量Gタンパク質Rab27Aとエフェクターと呼ばれる特異的な結合タンパク質（Slac2-aとSlp2-a）を同定し、メラニン色素輸送の分子メカニズムを世界で初めて解明することに成功しました。すなわち、成熟メラノソーム上に特異的に存在するRab27AはSlac2-aとSlp2-aという二種類のエフェクター分子と結合することにより、連続的にメラノソームの輸送を制御することが初めて明らかにし、当該研究分野の発展に寄与したことが 高く評価されました。

受賞者一覧については以下のＵＲＬをご覧ください。
http://www.kao-foundation.or.jp/kagaku/syou_list.html