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生命科学研究科のネイチャーポジティブへの取り組み

生命科学研究科のネイチャーポジティブへの取り組み

2022.06.03 08:30
 
TNFDは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に続く、自然資本等に関する企業のリスク管理と開示枠組みを構築するために設立された国際的組織です。 豊かな自然に恵まれた一次産業の中心地である東北地方に位置する東北大学はこれまで幅広い科学分野から自然・生物多様性研究に取り組んできました。また、豊富で先進的な自 然研究を活かす活動、例えば震災復興に生態系からの恵みを活かす「海と田んぼからのグ リーン復興」や、生命科学研究科所属の近藤教授が主催する全国規模での環境DNA観測網 「ANEMONE」等から得られる生物多様性ビッグデータとAI技術を活用してネイチャーポ ジティブの実現を目指す「社会にインパクトある研究:自然共生」などを推進してきました。TNFDフォーラムでは、東北大学は開学以来の「研究第一主義」の伝統、「門戸開放 」の理念及び「実学尊重」の精神を基に、これまで培ってきた自然研究の豊富な知見と研究力を活用して貢献し、ネイチャーポジティブな社会変革の実現に向けた役割を果たしていきます。 TNFDフォーラムには日本からは金融庁や環境省、民間企業などが参画しておりますが、 日本の大学からは本学が初めての参加となります。
 
 
■環境DNAとは
 
環境DNA とは水中や土壌中など環境中に存在する生物由来のDNA(デオキシリボ核酸) を指します。生物はフンや粘液などと一緒に自らのDNA の痕跡を環境中に残します。野 外で採取した水や土壌などから生物由来DNA を抽出、分析することでそこに住む生物の 種類を知る技術(環境DNA 技術)が近年になって大きく発展しました。捕獲や直接観察 に頼る従来の生物調査法に比べて、調査現場での作業が圧倒的に少ないことから、従来の 調査法では容易ではなかった多地点、高頻度での生物調査を実現する画期的な方法として 注目されています
 
 
 
東北大学大学院生命科学研究科教授の近藤倫生は環境DNAを利用した魚類の生物多様性観測ネットワーク「ANEMONE」を主催しております。世界初となる環境DNAに関するオープンデータ「ANEMONE DB(アネモネ データベース)」の一般公開を開始いたしました。 ANEMONE DBは、2017年から研究者と市民ボランティア約200名が全国861地点、4298 回にわたり実施してきた環境DNAを用いた魚類調査によるデータベース(ビッグデータ) です。近藤倫生教授の統括のもとで開発・運用され、充分なデータが蓄積されたことから 2022年6月からオープンデータとして一般に公開する運びとなりました。 環境DNAを蓄積した専用データベースの構築、およびオープンデータとして一般公開されることは世界初となります。 本プロジェクトは産学官が一体となった世界でも稀にみるプロジェクトとなります。
 
 
「ANEMONE DB」参照サイト・トップ画面 
 
市民ボランティアによる調査風景 海水をバケツで採取している様子
 
関連リンク:
 
報道:
日テレNEWS 2022/6/2
Logistics Today  2022/6/3
マイナビ 2022/6/7
電波新聞 2022/6/9
 
 
 
 
 東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています