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研究分野

分子化学生物学専攻 :
分子ネットワーク講座

研究

進化ゲノミクス 分野

進化ゲノミクス 分野

次世代シークエンシングなどの技術革新によりゲノム配列や遺伝子発現などのデータが急速に蓄積していく中、膨大な情報から如何にして生物が持つ面白さを見出すのかが今後ますます重要となっていきます。私たちは、こうした大規模な生命情報を利用して生物が持つ形質の遺伝的基盤を理解し、その進化過程の解明を目指しています。特に、ゲノム上で重複した遺伝子に着目し、病気や生態的特性との関連について研究を行なっています。

特色・実績

重複遺伝子の進化学研究とその応用

 全てのゲノムが重複する特殊なイベント全ゲノム重複(WGD)が起こると、全ての遺伝子がコピーを持ちます。このとき相対的な遺伝子量は変化しないため、遺伝子量変化に脆弱な量的均衡遺伝子も有害な影響を受けることなくコピーを作ることができます。全ゲノム重複によって生じた重複遺伝子(オオノログ)が、遺伝子量変化に脆弱であることを進化学的視点から検証するため、比較ゲノム解析により複数の動物を用いて進化過程における遺伝子の重複パターンを調査しました。その結果、オオノログが進化過程において重複しにくい遺伝子群であることを突き止めました。さらに、オオノログの量的均衡性に着目し、ゲノム上においてオオノログに隣接する遺伝子はコピー数多型がない傾向にあり、逆にオオノログから離れて存在する遺伝子の多くがコピー数多型を持つことを示しました。特に、オオノログが高密度で存在するゲノム領域では、コピー数多型が強く抑制されており、ヒトゲノム上に遺伝子重複砂漠が存在すること発見し、ヒトゲノム構造の理解に向けた新たな示唆を与えました。

 また、オオノログには疾患原因遺伝子が多く含まれることも示してきました。例えば、これまでに報告されているダウン症候群関連遺伝子の75%がオオノログであることを見出し、この他にも量的均衡性の知見を活かして症状が出にくいことから研究の進んでいなかった性染色体数異常疾患であるクラインフェルター症候群・ターナー症候群や、精神疾患、アルツハイマー症などの多数の原因遺伝子を推定し、比較ゲノム解析を医学へ応用する新たな手法を示しました。現在、オオノログ以外の遺伝子量感受性のゲノム領域にも着目し、ゲノム解析から創出された新しい疾患原因遺伝子の予測手法の確立を目指しています。

研究室URL https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/evolgenomics/

教員紹介

教授 牧野 能士
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重複遺伝子の進化、再生に関わる遺伝子の進化、絶滅危惧種や侵略的外来種のゲノム解析
准教授 市之瀬 敏晴(兼)
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准教授(クロスアポイントメント) 佐藤 敦子
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講師 横山 隆亮
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  • 分子遺伝学を用いた植物細胞壁の構築機構の解析
助教 別所-上原 奏子
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イネ栽培化に関わる分子遺伝学的解析、植物形態形成に関わるシグナル伝達経路の解明、虫こぶ形成に関わる分子機構の解明
助教 岩嵜 航
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助教 別所-上原 学(兼)
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